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マハティール首相訪日の第一声 @ 帝国ホテル

ご存知のようにマレーシアのマハティール首相は、昨日6月10日から明日12日まで日本訪問中です。

マハティール新首相の初の外国訪問先が我が日本だなんて、日本人としてはなんとも嬉しいのですが、マレーシアに住みマレーシアに密着している(と自負している)私としても(マレーシアとマハティール首相を)大変誇らしく思います。

今回の訪日は、日経主催の第24回国際交流会議への参加が主な目的なので、いわゆる「公式訪問」ではないのですが、多忙を極めるマハティール首相が3日間の今回の訪日を決断したのは、マハティール氏によると、安倍首相から「準公式訪問」として受け入れたいとの提案があったためだそうです。

今日(6月11日)これから、いや午前9時からとのことなので既に始まっているかも知れませんが、国際交流会議のトップを切る基調講演を行うそうですし、その後安倍首相とも会談、そして明日は国会で「両国関係のあるべき姿とこれからのアジア太平洋」と題し、衆参両院国会議員を前に演説を行う予定と聞きました。

それにしても、氏はまもなく93歳のご高齢とは思えないぐらいのバイタリティとメンタリティを有し、しかも機知に富んだ類稀なるワイズマン(賢人)です。昨夜も氏の在日マレーシア人との夕食会(帝国ホテル)でのスピーチを、ベルナマのフェイスブックで聞きながら、興奮し、感動し、そして思わず拍手してました。

今後、オンラインメディアやユーチューブなどでも訪日間の氏のスピーチの内容などが続々アップされると思いますが、今日は氏の今回訪日における第一声(昨夜の帝国ホテルでの夕食会の際の氏のスピーチ)に関するマレーシアメディアの記事二つを取り上げてみたいと思います。

そのひとつは、昨夜のスターオンラインの記事です。



Dr M: People pushing for Najib arrest, but it’s not so easy
(マレーシアの)人々はナジブの逮捕を急かすけど、それは簡単ではない
StarONLINE Sunday, 10 Jun 2018

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TOKYO: Prime Minister Tun Dr Mahathir Mohamad said while many people were asking for the arrest of the former premier, it was not so easy.
東京発:マハティール首相は、多くの人たちが前首相の逮捕を求めているがそれはそう簡単ではない、と述べた。

“People are waiting - when are we going to arrest (Datuk Seri) Najib Tun Razak?
人々は、我々(新政権)がいつナジブを逮捕するのかを待っている。

“It’s not so easy. We have to find evidence that will stand up in court.
しかしそれはそんなに簡単なことではない。我々は法廷で勝てるだけの証拠を集めなければならないのだ。

“If the evidence is not strong and he is not found guilty by the court, then all the things we have done and said will be questioned by the people,” he said in his speech during the dinner with some 250 Malaysians in Japan here on Sunday (June 10) night.
もし証拠が万全でなければ、そしてもし彼(ナジブ)が法廷で有罪とならなければ、我々のこれまでのすべての言動は、人々によって質されるのだ、とマハティール首相は、日曜(10日)夜の在日マレーシア人たちとの夕食会でスピーチした。

“I say hopefully because the people’s choice must be respected and we want to be a democratic country,” he said, adding that the new Pakatan Harapan government would not run roughshod over the other branches of the government such as the judiciary.
人々の選択(意思)は出来る限り尊重されなければならないが、我々は民主主義国家を目指している。新しいパカタンハラパン政府は、司法を含む政府のすべての機関の手綱を引き人々(の権利)を踏みにじるようなことはしないのだ。

“That’s a relief for Najib,” Dr Mahathir said, adding that Najib was however not allowed to leave the country.
それはナジブ(と言う人間)に対する救済だ。しかしながら彼は国外に出ることは許されない、と氏は語った。

He said however that many people had ‘disappeared’ lately, including Jamal Yunos.
しかし、最近ジャマルユノス(※)を含む多くの人物が失踪した。
※アムノ(Umno)のセキンチャン支部長だがヤクザ紛いの暴力的かつ過激な男で名高い。いくつもの暴力沙汰などの違法な過激事件により警察から逮捕状がでているがインドネシアに逃亡したものとみられており、現在インドネシア警察と国際警察機構が指名手配中。

“But we hope that before they disappear, we can punish them accordingly to the law,” he said.
しかし氏は、彼らが失踪する前に我々は法に基づき彼らを罰したい、とも語った。

He also said because Najib was using stolen money to pay ‘everyone’, this was not sustainable, adding that some people would suffer because of the restructuring and rehabilitation of the country’s RM1tril debt was not easy.
また、ナジブは盗み取った金を誰にもばら撒いていたがこんなことをいつまでも続けられる訳がない。(お陰で)多くの人(国民)が、1兆リンギもの半端じゃない借金を背負った国の再構築と再生に苦しむことになった、と付け加えた。

“Some people will not be able to perform their haj because the Government won’t be paying for them to perform their haj with stolen money.”
中にはハジ(メッカへの巡礼)ができなくなる人々も出て来ようが、政府としては盗んだ金を人々のハジ行きのために使うことは出来ないのだ。



↑この記事の内容は、私だけでなくマレーシアの誰もの関心事ではあると思うのですが、マハティール首相にこのように答えられてはぐうの音も出ませんね。新政権樹立後まもなく、一部の新政府筋から"まもなくナジブ逮捕"の情報が出ましたが、あれなどは今考えれば無責任な情報だったのでしょうね。ナジブ政権で荒廃し尽くした法治主義の速やかな回復を謳うマハティール政権を少し見くびってました。

情緒的になるのではなく、飽くまで冷静に、すべてを法の支配の下に、とのマハティール首相の昨夜のスピーチには痺れました。流石です。


さて、今回紹介したい記事の二つ目は、ベルナマニュースをソースにしたFMT(フリーマレーシアトゥデイ)です。



Emulate Japanese sense of shame, says Dr M
Drマハティール:日本の"恥の精神"を真似よう

FMT June 11, 2018 (source BERNAMA June 10)

In his first visit abroad since becoming prime minister, Dr Mahathir Mohamad says the Japanese succeeded in rebuilding their country due to their work ethics and value system.
首相就任後初の外国訪問地(日本=東京)で、マハティール博士は、日本は、その労働倫理(労働観)や(善悪の)価値システムによって、国の再構築に成し遂げた、と述べた。

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TOKYO: Dr Mahathir Mohamad says Malaysia will be successful like Japan if Malaysians possess the same work ethics, thinking and value systems as well as a sense of shame if they fail to deliver or do well in undertaking the task at hand.
東京発:もしマレーシア人が(日本と)同じ労働倫理や考え方、価値システム、そしてなにか物事に失敗した時や成功した時の"恥の精神"を身につけるなら、マレーシアは日本と同じように成功するだろう、とマハティール氏は述べた。

He said when the Look East policy was formulated during his first tenure as prime minister in the 80s, it was not just about drawing investments from Japan or coming to study in the country.
1980年代、氏の1回目の首相時代にルックイースト政策を立ち上げた時、それは単に日本から投資を呼び込むだけではなく、(日本と言う)国に来て学ぼうと言うものだった。

“It’s also about acquiring the Japanese work ethics, the Japanese sense of shame whenever they fail to deliver what they have promised to deliver,” he said at a dinner with Malaysians in Japan last night.
それはまた、日本の労働倫理、なにか約束したものを届けられなかった時などの日本の恥の精神を身につけようと言うものだった、と氏は昨夜の在日マレーシア人との夕食会で語った。

Mahathir is here for a three-day working visit where he will also attend the 24th International Conference on the Future of Asia, or Nikkei conference. This is his first trip overseas since becoming Malaysia’s seventh prime minister last month in a stunning election victory.
マハティール氏は、日経主催第24回国際交流会議「アジアの未来」に出席するため、3日間、日本に実務訪問中だ。これは、先月行われた総選挙に勝利して、氏が第7代マレーシア首相就任以来初の外国訪問となる。

The prime minister also shared with some 250 people present at the dinner about what the government was doing to rehabilitate Malaysia from the damages inflicted by the previous government, including the debt of some RM1 trillion.
首相は、昨夜の夕食会に参加した約250名のマレーシア人たちに、約1兆リンギもの借金など、前政権によって負わされたダメージの回復に向けて現政権(政府)が何を成しているかを語り、(情報を)共有した。

Mahathir recalled what he had seen of Japan during his first visit in 1961, saying it had been a country destroyed by war.
マハティール氏は、1961年の氏の日本初訪問時に見たものは、敗戦によって荒廃した国だった、と回顧した。

“I watched the Japanese people work, and work very hard to rebuild their country, and sure enough the result was that Japan very quickly became one of the biggest economies in the world. From a defeated country, a destroyed country, Japan was able to rebuild itself at a fast rate and effectively.
私は、国の再建のため懸命に働く日本人を見て確信した。そしてその結果、日本と言う国は、急速に世界でも有数の経済大国になった。敗戦国そして荒廃した国から日本は、素早く効果的に国を再建できたのだ。

“I found that the Japanese had succeeded in rebuilding their country due to their work ethics and their value system. If you have the wrong way of working, if you are not hardworking and you don’t take pride in your work, you will fail,” he said.
私は、日本が国の再建に成功した訳は、彼らの労働倫理と価値システムにあると気付いた。もし、仕事の仕方を誤ったり、勤勉でなかったり、そしてもし仕事にプライドを持つことができなかったりしたら、その時は失敗する、と彼は語った。

He said the Japanese took pride in making high quality products that were able to compete with those produced by other countries.
日本人は、質の高い製品(商品)を作ることにプライドを持っている。だからこそ他国との競争にも勝てるのだ。

“But in Malaysia, we don’t have this value system. We don’t feel ashamed if we come up with sloppy products which are of poor quality… whether what you do is good or not does not seem to matter.”
しかしマレーシアにはこのような価値システムがない。我々は、質が悪くて出来の悪い製品(商品)であっても恥ずかしいとは思わない。良かろうが悪かろうが大したことではないと思ってしまうのだ。

Mahathir also said the government appreciated Malaysians’ gesture to help it reduce the debt level through the special fund set up for this purpose.
マハティール首相はまた、国の借金レベルを減らすために設けた特別ファンド(※)への多くのマレーシア国民の協力姿勢に政府は感謝していると語った。
※タブン・ハラパン・ファンド:マハティール首相の提案で始められた国の救済募金のこと。メディアの報道によると今日現在既に5500万リンギを超す募金が国民から集まっている。

He added that the government would do its best to resolve the financial situation without hurting the country. He said this would take some time as it was not an easy task.
彼は、政府は国を傷つけることなく、国の経済問題の解決に全力を尽くすが、これは簡単なことではなく、しばらく時間がかかると述べた。

Unlike before, he said, money would not simply be disbursed to everybody. Instead, he added, financial assistance would be given to those who were eligible.
我々は前政権とは異なり、金を全員にばら撒くようなことはしない。しかし真に必要な人には経済援助を行う。

“We don’t want to inherit bad habits,” he said, adding that there was no room for abuse including in the private sector under his administration.
我々は(前政権の)悪習は引き継がない。政権下のプライベートセクターを含み(職権の)乱用などの余地はない。

He also said the government was prioritising efforts to eradicate graft.“If corruption is eliminated, we can save some 30% of our money with which we can do many other things.”
彼はまた、政府は汚職撲滅を最優先に行う、と述べ、もし汚職をなくすことができたなら、現在支出の約30%を減らすことができ、その金を他の必要なことに使うことができる、と述べた。



以上、マハティール首相訪日の第一声を報じる記事二つを紹介しました。

余談ですが、スターオンラインの記事に対する読者コメントの中には、スター紙のことを「以前(前政権時代)はナジブを慮ってまともな記事を書かなかったがようやく改心したか、ならば今後は読んでやる」とのコメントがあり、感じることは誰でも同じなんだな、と思ってしまいました。

それにしてもマハティール氏のスピーチの切れ味の良さ、大好きですね。世界に名高いジャパンクォリティの原点が、恥のセンスだなんて、実はこれまったくの同感です。これって、なんとか言う米国の学者さんによる「菊と刀」の中の「恥の文化」ですよね。確かに欧米やその他の国々とは明らかに異なる文化だと思います。

しかし、マハティール氏の持論のルックイースト政策がリバイバルするなんて、思ってもみなかったですよ。でもあの怠惰な国民性をDNAに持つマレーシア人をして果たして恥の精神を宿らせることができるのかどうか、それこそ容易なことではないとは思いますが、チャレンジしてみる価値はありますよね。

氏は昨夜のスピーチの中で、今のままでは1兆リンギの借金の毎年の利息すら支払う余裕がないのだ、身を削る大胆な改革が不可欠だと述べ、そして日本に学び、恥の精神を真似ろと約250名の在日マレーシア人を前に断じ、大きな拍手を得た。

今回の訪日はもちろん、シティハスマー夫人同伴です。夫人はマハティール首相とちょうど1歳違いの91歳、まもなく92歳。7時間超もの長旅は、いくらナジブ時代に購入した豪華政府専用機とは言えさぞお疲れのことでしょう。世界最高齢の首相とファーストレディ、まさにマレーシア国民が世界に堂々誇り得るお二人です。いつまでもお元気に、と祈らざるを得ません。

最後に、昨夜の帝国ホテルでのマハティール首相のスピーチ動画を是非ご覧戴きたいと思います。



ではまた。。

追記:(6月10日 22:15)

第24回国際交流会議におけるマハティール氏の基調講演ビデオ
これ、1時間超のビデオですが、興味のある方は是非どうぞ。



日本外国特派員協会でのマハティール氏の記者会見ビデオ

↑これちょっと面白いです。後半約40分50秒くらいとところに、産経新聞の末永恵記者が質問の中で、マハティール氏の父上がインド出身と言ったことに対して、氏がそうではないと白んで反駁するくだりがありますが、これなど明らかに記者の失点ですね。なぜなら、マレーシア国内には未だにマハティール氏のレイシャル(racial)な正当性に難癖をつけている一部の人たちがいて、氏も大変気にしておられる機微な事柄です。もっとよく調べてから述べるべきだったでしょうね。

以上




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コメント

T.Nishi

Ikesan “マハテイール首相訪日第一声”の紹介、有難うございます。
感激しながら拝見しました。またビデオも全て視聴、マハテイールさんの元気な姿を拝見し感動ものでした。
やはりマハテイールさんは、Ikesan がおっしょるとおりマレーシアが世界に誇る偉人であると再認識し、また、現在世界で最も注目されるリーダーの一人であると強く感じた次第です。
我輩が居住するイポーで、最近感じていることですが、この国の人々の多くが総選挙直後はナジブ政権の汚職云々等々であったのが、最近はマハテイールさんの動向や新政権の新たな政策に関する話題に変わりつつあるように思えます。それだけ新政権に対する期待が大きいからですね。
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t-ikesan

・雪国山形から南国マレーシアへ
・異文化生活辛くもあり楽しくもあり
・孫恋しさにしつこくSkypeお願い中
・息子宅のスリングボックスさまさま

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