いよいよ今日(DAY5)から真正ジャングル踏破行にチャレンジです。

そう言えば、今回の旅の初日に、KLセントラルから乗ったKLIAエクスプレスの車内で、ピーターとシーシーの古い知り合いだと言う老齢のドクターと偶然鉢合わせしたのですが、話を聞いたら、なんと以前、バリオからバカラランまでのジャングルを単独踏破したことがあるとのこと。偶然にしては出来過ぎのような気もしましたが、一同有難く拝聴しましたよ。

そしたら、その老ドクターの話の中に、bitten by a lot of horrible leeches、つまりぞっとするヒルがうじゃうじゃいて噛まれて大変だったというのがあった。皆、へぇそうなんですか、、と平気を装って聞いてはいたが、内心はそうではなかった筈。このオレだってあのヒルは好きじゃない、どころか大嫌いだ。血を吸われてもさほどの被害はないのだが、見た目がグロで気持ち悪い。

バリオに着いてから、その老ドクターの話をスコットにしたら、なんとスコットは彼を憶えていて、ガイドも雇わず単独で踏破したその話は本当だと言う。へぇー嘘ではなかったんだ、とあらためてジャングルトレイルの吸血ヒルのことを思い出した。

今日の天気は今のところ良さそうだが、このところ毎日雨が降ってるからトレイルはかなりぬかるんでいるだろう。湿地や沼地や雨に濡れた樹々の下や藪道もあるだろうし、ヒルに襲われないようにゲーター(シューズカバー)をしっかり装着し、さらにオーストラリアのジョン爺から譲り受けた↓アンチリーチスプレイなるものを要所要所にスプレイし準備万端整えた。

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↑へぇー、こんなものがあるんですね。これ凄いですね、刺されたら死ぬほど痒いあのサンドフライ(sandflies)やダニ(ticks)、そして山ヒル(leeches)やアブ(march flies)にもばっちり効くのだそう。でもコレDeet(昆虫忌避剤)の割合が40%もあるんだって。若干、人体への副作用が気にはなるが今はそんなこと言ってられないもんな。

そうこう言ってるうちに、スコットに手配をお願いしたガイドのジョンソンが現れた。スコットの幼馴染だと言う彼は、小柄だがいかにもジャングル慣れしてそう、いやジャングル人(びと)そのもののようで実に頼もしい。早速、皆の服装や持ち物をざっと見渡すと、開口一番、ピーターとシーシーの半ズボン姿にそれじゃヒルに噛まれるし藪を歩けない、とロングパンツへの履き替えを指示。まぁこれは当然と言えば当然のご指摘でしょうな、と大きく、うんうんと頷いた私です。

次に、スリーピングバッグは持ってるかとの質問に、皆、首を横に振ると、うーん、二晩目はジャングルの粗末な避難小屋で泊まるからね、地べたに寝るのと同じようなもんだから、スリーピングバックがないとちょっと厳しいかなぁと仰る。

なんだ、そんなことちっとも知らなかったし、いや、でもオレ、レインウェアやウインドブレーカ重ね着すれば多分大丈夫かな、と答えたら、お二人さんも、そうだよ、だ、大丈夫だよ、寒くなんてないよ、と相変わらずのお気楽ぶり。ガイドのジョンソン氏、一瞬顔を曇らせたが、それでも、まっいいか、と出発することとなった。

DAY5は、このバリオの村から4kmほど離れたパ・ウカット(Pa'Ukat)村を経て、さらにジャングルの向こう9kmほど先にあるパ・ルンガン(Pa'Lungan)村まで歩き、今晩はそこの宿にホームステイすると言う,、全三日間のジャングル踏破行の中では一番楽そうな予定なのだ。

その上、先ずは行けるところまで車で行こうと、呼び寄せたピックアップトラックの荷台に、おっ、こりゃラッキー、とニコニコ顔で乗り込むひねくれシニアトリオです。

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パ・ウカット村の手前で、車道は通行止めとなり、ここからが歩きとなる。ガイド氏によれば今日はここから4時間の行程だそうだ。

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↓シーシーとガイド氏の出発前の記念のツーショット。

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ガイドのジョンソン(以降、敬称略)が先頭、そしてシーシー、ピーター、そしてしんがりをこのひねくれ団塊が続く。

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まもなく、パ・ウカット村を通り過ぎ、道は徐々にそれらしくなってきた。

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天気は上々なるも、連日の雨のせいだろうと思うが、トレイルは期待どおりにあちこちぬかるんでいて、靴はあっと言う間にアッパーまで全部泥だらけ。

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それに、深閑としたジャングルの、静かなトレッキングと思いきや、辺りのセミ(Cicada)や鳥が実に喧しい。日本では、セミの鳴き声は夏の風物詩だが、ここでは年中だから騒々しいだけなのだ。

ところで私の両耳にはもう20年も前からセミが数匹常駐していて(注:耳鳴りのこと)時々思い出しては悩んでいる。日本の夏の初めには、時々耳の中のセミが鳴いているのか、それとも本物のセミが鳴き出したのかわからない時もあったのだが、ここのジャングルゼミは日本のそれの何十倍もの大音量でけたたましく鳴くので、お陰で私の耳鳴りなどちっとも聞こえない。(笑)

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このトレイルはかつて、ジャングルで切り出した丸太や荷物を引いてバッファローが通った道、つまりバッファロートレイルなのだそう。

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だが今では、バ・カラランとバリオを結ぶ車道を軍が建設工事中で、完成すればこの道はほとんど使われなくなるのだそうだ。お、どうやら湿地帯にさしかかった模様。

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前を歩くピーターのシューズは普通の運動靴なので、既に靴の中まで濡れているに違いない。

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その点、オレのは完全防水だから、これぐらいなら問題ないが、この先どんな沼地やジャングルリバーをクロスするやも知れず、ちと心配だ。

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湿地を抜けると今度は草丈の高い藪道だ。だが、もう昼近いし藪は完全に乾き切っていて、雨露のついた草葉で濡れることもなく、歩行に特に支障はない。

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前を歩くピーターと10mも離れると姿も見えず、トレイルも見失いそうになる。

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しばらく歩いたところで、小さなジャングルリバーに架かる屋根付きの橋に差し掛かり、しばしの休憩を取ることにした。ここまでのトレイルは小さなアップダウンはあるものの、体力カウンターはまだまだ十分で余裕しゃくしゃくのひねくれ団塊です。もちろん二人も元気です。

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休憩の後、一行はまたトレックを開始したが、どうやら小さな登りにさしかかったようだ。

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小さな登りもまもなく過ぎて今度は鬱蒼としたフォレストが続く。

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歩き始めて約3時間、お昼もとっくに過ぎた頃にガイドのジョンソンが足を止めた。昼飯にしようと言う。

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ジョンソンがザックから取り出したランチパックがコレ。ジャングルの木の葉で包んだナシゴレン風。もちろんこのまま手で食らうのだが、これが意外に美味。適度に塩気が効いてまことに美味い。

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バリオを発つ前に、例のY2K(バリオ村唯一のミニマーケット)に立ち寄り、ジョンソンがイワシ缶とマギーミー(即席麺)を買い求めたが、聞けばそれが二日目の夕メシと三日目の朝メシなのだと言う。どうやらジャングルの避難小屋でたき火を焚いて自炊するらしいが、期待した以上のワイルドな旅になりそうでワクワクする反面、正直言って少々不安な気持ちもある。

その後すぐに、我々は軍の工兵部隊が何年も前から建設工事中だと言う広い赤土の道路に出た。この道路はバカラランとバリオを結ぶ全長約75kmの道路と言うが、工事開始後すでに10年以上も経つというにいまだに開通しておらず車の通行が出来ないのだそうだ。

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早速ピーターは半ズボンに履き替えて歩き始めたが、この道路、もちろんこのように歩きでは通れるが、今日我々が通ってきたジャングルトレイルの方がショートカットでずっと近いのだそうだ。

しかしこの辺りに住む人々の現在の主な交通路は、このジャングルトレイルではなくジャングルリバーだと言う。なるほどあんな藪道や湿地を通る細いトレイルが主たる交通路ではあるまいと思っていたが、それで納得した。

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歩き始めて4時間半となる午後2時頃、今日の目的地のパ・ルンガン村に到着した。

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この吊り橋の向こう側がパ・ルンガン村だ。

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こんな人里遠く離れた部落?だと言うに、案外小綺麗な村だなと、正直思った。

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どうやら電気もきているらしく電柱や電線もある。ジャングルの真っ只中の部落と言うから、もっと粗末で原始的な村を想像してたのに、意外に近代的で驚いた。

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↓これはネットからお借りした村の全景写真だが、サッカーグランドのような広場を取り巻くように30戸ほどの家々が立ち並んでいる。参考までに居住民は100人ほどと言う。

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パ・ルンガン村拡大写真←クリック

↓そして今夜の宿のバツ・リトン・ロッジ(Batu Ritung Lodge)だ。

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バツ・リトン・ロッジの名は、近くに建つBatu Ritungと言う部族の戦士を祀る石碑に由来していると言うが、村で5つある宿泊施設のひとつだそうだ。それにしても居住人口がたったの100人の村に宿泊施設が5つもあると聞いて驚いた。

↓早速宿の主人に案内・説明していただいたBatu Ritungと言う名の石碑。

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↑さらに驚いたのは宿のご主人の滑らかで淀みのない英語の説明だ。今にも倒れそうに傾いた巨石のモニュメントとご主人を交互に見比べながらなんとも不思議な思いに抱かれた。

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宿は木造の古い2階建屋だが、どうやらユニークにも沼地の中に建っているらしく、入り口から渡り廊下のようなアプローチを伝って中に入る。

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↓ここがバツ・リトン・ロッジの玄関だ。

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中に入ると居間に通じる上りぐちだ。ここで一同泥だらけの靴を脱ぎ、ようやく一息ついた。

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居間は広い板の間になっていて、いかにも人気のロッジらしく、これまでに訪れた客のものだろうか壁に無数の写真が貼ってある。

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広間の奥にはダイニングテーブル、そして奥の隅には嬉しいことに温・冷水器が設置され、コーヒーや紅茶のセルフサービスコーナーのようになっている。あんなぬかるみのジャングルトレイルを何時間もかけて歩いて、ようやくついた辺鄙な小さな村に、意外にもこんな快適な宿があるなんて信じられない。

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ガイドのジョンソンに話を聞くと、この宿は彼の親戚筋なのだそうだが、村で一番の評判宿だそう。もちろん米は自家栽培のバリオ米、その他の食材も、すべてジャングルマーケットと自家栽培とフィッシィングポンドからの自給自足だそうだ。

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そんな話をしていたら、なんと目の前に透明の液体が入ったショットグラスがやってきた。こ、これはもしかして、あ、あの憧れのサラワクのライスワインではなかろうか???

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私の期待は見事に当たり、自家栽培のバリオライスを発酵させた自家製の濁酒(どぶろく)だと言う。そっと匂いを嗅いでから、舐めるように舌の上を転がしてみたら、お、おぉぉぉぉ、なんと美味、なんと香しい、これぞ夢にまで見たサラワクのライスワインだぜ。。

実は、何を隠そうこのひねくれ団塊は、山形の田舎で寒の濁酒造りを5年もかけて研究した末に、濁酒名人を自称しては悦に入っていたほどの男だ。濁酒は、ひと口飲めば、いや、ひとしずく舌を転がせばすぐに判るが、こいつはまことに美味い。    
などと、下心ありありで宿のかみさんにゴマ擂ってみたが、サンプル持ち帰りの提案も、お代わりもう一杯のお願いもあえなく却下され、意地汚くもピーターとシーシーの飲み残しを一滴残らず啜るひねくれ団塊なのでした。

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ふと気が付くと、外はいつの間にか雨、それも本降りのようだ。これじゃあ、夕飯まで寝て過ごすしかないな、とそれぞれ二階の自室に籠っていたのだが、この際迂闊にも汗で濡れたシャツを着たままつい眠り込んでしまったらしい。妙な寒気を感じて目が覚めたが、喉の辺りがひりひりと痛い。ひょっとしたら風邪をひいたかも知れないな、と一瞬思った。

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まもなく日も暮れて辺りは闇となったが、外は益々本格的な雨、果たしてこの雨はいつ止むのだろう。もし今夜中に雨が止まず、朝になっても降り続いていたらどうなるのだろう、と思うと不安になる。

ガイドのジョンソンの話では、明日は、朝食後にスタートして約7-8時間のジャングルトレックだそうだ。途中少々きつい登り下りの山越えの後、何本かのジャングルリバーをクロスして、午後遅くにロング・レプン(Long Repun)のジャングル避難小屋に入る予定だと言う。

おそらく明日は今回の旅で最も過酷な、これぞまさにチャレンジと言う旅になるのだろう。それはもちろん私の望むところであるのだが、それにしても雨に濡れるのは嫌だ。濡れたら間違いなく体温が奪われる。いつかの山行でそれで酷い目に遭ったことがある。

だから雨対策はしっかりしてきたつもりではあるが、いかんせん増水した川を渡るのに濡れずに済む方法はあるまい。果たしてその後の避難小屋で暖を採ることができるのだろうか、などと考えると、一刻も早く雨の止むことを願わずにはいられない。

宿の主人の、夕飯の支度ができましたよ、と言う声に促されて階下に下りたが、既にガイドのジョンソンがテーブルについていて、やはりこの雨を気にしているようだ。朝まで止まなかったらどうなる?と尋ねてみたが返事に窮したようで、とにかく明日朝の様子をみよう、とそれだけだった。

しかしこんな雨でもピーターとシーシーの二人は陽気で救われる。いつものようにビールで乾杯した後、リビングの衛星テレビに映し出されていたバドミントンの試合を観ながら(※)たわいもない四方山話に花が咲いたのだが、それも終わると、さてこの後、この雨降る長い夜をどうやって過ごそうかと皆思った。 (※当たり前と言えばそうなんですけど、こんなジャングルの奥地でも衛星テレビはちゃんと綺麗に映るんですね)

すると、突然、宿のおかみさんが、さぁ、これからパーティに出かけましょう、と言う。

え?パ、パーティって? 聞けば、今夜、今から村のとある家で村人全部が集まるパーティがあるのだと言う。さらに詳しく聞こうとしたが、行けば分かります、と言うので皆で行くことにした。もちろん外は相変わらずの雨、どころか、土砂降り状態の雨。

皆、しっかりと雨支度をして宿を出たが、外は真っ暗闇でしかも土砂降り。宿のご主人とおかみさんがトーチライトを付けて先導したが、村の真ん中の広場を突っ切って村外れの一軒家に向かううち、たったそれだけで皆全身びしょ濡れ、靴もぐしょぐしょ。あーぁ、これじゃあ明日が思いやられるよ、と、これは私の独り言でありました。

で、そのパーティの様子などについては、ちょっと長くなりましたので、次回のブログに綴ることとします。ごめんなさい。

それではまた。。




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