ボルネオ高原歩き旅シリーズ、本編第2回目の今日は、DAY3とDAY4を書きますが、この二日間はいずれもDAY5から始まる本格的ジャングル踏破行のための予備訓練と言うか、ウォームアップなんです。なにしろ、普段はあまり運動などして鍛えていないルーズなオヤジたちですからね。。。

なに、それ違うよ、イケさんって? え?シーシーは毎日プールで泳いでる? え?ピーターも歩いたりジョギングしてるの? なんだナマケモノはオレだけなのか。。

でも、かく言うオレだってたまに卓球やったりプールしたりして時々は汗かいてるんだけどね。それにこっちはとんでもなく暑いから寝てても汗かくし、それって寝ながらジョギングしてるようなもんでしょ。。え、全然違うって?そっか、それはまぁいいとして、何10キロもアップダウンのある本物のジャングルを歩くとなるとそれなりに体力要るわけですよ。

とても長年生きてきたひねくれの悪知恵だけでジャングル踏破できるとは思わない。なので、この二日間、真面目にウォームアップしようと考えたんです。



DAY3

で、今日は朝からバリオのプレーヤーマウンテン(Prayer Mountain)に登ろうってことになった。プレーヤーマウンテンとは文字どおり"祈りの山"で、世界のどこにもある、主としてキリスト教の祈り、瞑想、断食のための施設を備えた山のことだ。

バリオのプレーヤーマウンテンは村の北西部に位置する300-400mの高さの低山だが、十字架の立つ頂上からの眺望は一見の価値ありなのだそう。

↓宿(Ngimat Ayu's Homestay)のバルコニーからズームインして見たバリオのプレーヤーマウンテン。こうして見るとなんの造作もない山だ。こりゃ登山じゃないな、ハイク(hike)だぜ、と皆思った。(頂上の左半分が白い雲に隠れている写真中央の山がプレーヤーマウンテン)

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だから、、見てよ、二人のこの軽さ。え、何がって?だってこれ、ハイキングよりも軽くないか。二人とも半ズボンにスニーカー、それに手ぶらだぜ。雨対策の雨具もないし飲み水さえも持ってないんだよ。

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だから、オレが、え、なに?飲み水もなにも持ってないのって言うと、イケサンは、なんでそんなに用心深いのかって聞いて来る。おいおい、お二人さん、山を舐めちゃあいかんぜよ。山の天気はすぐ変わる、例え今晴れてても、いつ雨が来るか分らんから雨対策は絶対だし、飲み水も必要。それにオラはファーストエイドキットも持ってるんだぜ。

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そんなオイラを小馬鹿にしたようにアッ八ッハーと笑い飛ばし、先を急ぐオヤジたち。。まったく人の言うことなぞちっとも聞かないひねくれモンはこれだから困る。後で痛い目にあっても知らんからな。。(正面に見える山の頂上が今日のゴール)

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そう言えばこの前のスマトラの時は、バックパックの重さが倍ぐらい違ってて、二人にさんざん小馬鹿にされたっけ。確かにあの時はちょっと持ち過ぎだったかもな。だから今回は機内持ち込限度の7kgに無理やり抑えたんだよ。なので余分なものはなんもない。それどころか、着るものも穿くものも最小限度。ほとんど着の身着のまま状態で夜昼過ごそうと覚悟してきたからね。もっともこれが後ほど想定外の痛い目に合う羽目になろうとはまだこの時は思わなんだ。

でもピーターのバックパックなんて、今回も5kとちょっとだぜ。7泊8日の旅にしちゃあ、軽すぎないかって言ったらへっへっへと笑い飛ばされた。そこが旅のベテランと初心者の違いなんだとさ。

でも山だぜ、ここは。それもボルネオ島の奥地の秘境に近い山、と言っても結構人の手が入っているし、良く整備されてて意外なんだけどね。しかし、次第にそれらしくなって来て、しんがりを歩くオイラは内心意地悪くほくそ笑んでたよ。

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ここらで雨でも降って来ないかな、と意地悪くほくそ笑むオイラ。なに、突然土砂降りが来たってオレは怖くない、なんせゴアテックスのレインウェアにこれもゴアテックスのゲイター(防水シューズカバー)持ってるしね。それに比べて彼らときたら、普通のスニーカーに半ズボン。オレ、ホントに知らんからね。

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なかなか降りそうで降ってこないのがチト癪に障るが、それでも山道の勾配は徐々にきつくなり、先ずプールで毎日鍛えている筈のシーシーが遅れだした。

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そしてついに先頭に立つオイラ。少しずつ遅れる二人を上から見下ろして、ホレ、どうした、もっと早く登れないのかと急かすこっちは小気味が良いのだ。

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↓ほらね。結構急な勾配だよ。このプレーヤーマウンテン、300-400mの低山だからってはっきり言って舐めてたね。登山道の最初だけなだらかだけどだんだんきつくなってきて、この辺りはほとんど↓こんな感じ。まぁ、DAY5から始まる本格ジャングル踏破行のウォームアップにはちょうどいいかもな。

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ほら、どうした、どうした、と意地悪く二人を急かす、ひねくれ度合いでは決して人後に落ちないオイラ。

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それでも、オラが内心期待してた突然の土砂降りもなく、いつしか十字架の立つ頂上に着いたのでありますよ。

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頂上からの眺めは、、、、わおっ、こりゃ見事だ。でもこうして眺めていると、ここがとてもボルネオ奥地だとは思えん。なにか遠い昔のどこか無性に懐かしい情景が蘇る。

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拡大パノラマ画像←ここをクリック(是非PCなどの大画面で見て下さい)

それでも↓うへぇー、疲れた、、とは決して言わない可愛くないひねくれオヤジたちなんです。

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しばらく頂上にて休憩を取った後、ゆっくりと同じ道を下ってきたのだが、幸か不幸か結局最後まで雨は降りそうで降らなかった。

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だけどこれ、単に運が良いだけだからね、もし途中雨が降ったら二人はどうなっていたのかね、とはオイラの独り言だけど、彼らにはさっぱり通じてない。一度徹底的に痛い目に遭わないと多分永久に分らないんだろうな。。。

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そしてその夜、今夜はワイルド・ボー(猪)のBBQだと言うので、宿の離れのBBQ小屋に集まり、宿主のスコットを中心にビールを飲みながらいろんな話題で盛り上がった。

それにしてもスコットの英語はきれいだ。いやスコットに限らず、このバリオの人たちの英語は、こちらが恥ずかしくなるほど達者で恐れ入る。なぜと思ってスコットに話を聞いてみると、その訳はバリオの歴史が影響しているそうな。

なんせかつては首狩りでその名を馳せたクラビット族なのに、今では約6000人の人口のすべてが熱心なキリスト教徒で、それぞれの小集落には必ずある教会での祈りを欠かさない。それもこれも、19世紀半ば(1840年代)に遡るサラワク王国に由来するそうで実に興味深い。王国は、当時のブルネイ王が英国人探検家のジェームズ・ブルックに割譲した独立国で、以来なんとこのバリオの地では物事のすべてが英国式になったのだと言う。

しかし1941年の旧日本軍のサラワク占領で王国は消滅し、終戦後は英国の直轄植民地となったが、その後1963年にはマレーシア連邦の一員となり英国から独立して現在に至るのだと言う。

だから、現代のバリオの家々では寧ろ英語を話し、元来のクラビット語が次第に廃れて来ているそうな。もちろん小学校や中学校では完璧な英語教育に余念がないが、近年はクラビット語の教育にも力を注いでいるとのこと。

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いや、それにしても恐れ入った。このボルネオ奥地のバリオの地では、どこにもいるオバサンやオジサンが、いや子供たちも皆、ほぼ完璧な英語を話す。これには驚いた。

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でも、私もマレーシアに暮らし始めてまもなく4年半、日本で暮らしているよりは、圧倒的に英語で話す機会が多い。もちろん私自身が積極的にそんな機会を作為しているせいもあると思うが、嬉しいことに最近では、和文英訳の手順を経ないで、英語で考え英語で話すと言う術がようやく身についてきた気がしている。

それでも、こんなインターナショナルな人的関係の真っ只中にいると、自分の英語力のみすぼらしさが気になってしょうがない。得意げに話しまくるジョンはオーストラリア人で英語ネイティブだから当たり前だろうけど、ピーターもシーシーも英語ネイティブではないハズ。ましてスコットは、こんな人里離れた秘境とも思えるバリオで生まれ育った人間だ。

そんな彼らが、自由自在に英語を操り、話題は次から次に目まぐるしく変わる。

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ここで我々(日本人)の英語教育に関する問題提起をしようとは決して思わないが、日本人の英語力の乏しさは世界でも稀なのではないかと感じることがしばしばある。東南アジアでも中東でも世界のどんな国でも、みんながみんなそうだとは言わないが我々日本人よりはよほどマシな英語を喋る。

時々、日本の大学や専門学校などからマレーシアに英語留学にきていると言う若者たちと話すことがある。彼らは数か月から1年程度、KLの語学学校の宿舎で暮らし、英語漬けの毎日なのだと言う。しかし思う。それにしては、典型的なワンセンテンスイングリッシュだ。当地に暮らすほとんどの日本人がそうであるように、和文英訳の手順であらかじめ準備したワンセンテンスかツーセンテンスしか口に出て来ない。後が続かないのだ。これじゃぁ会話にならない。

良く持って30秒。1分も続かない。すぐ黙り込んでしまう。こんなんじゃあ会話にならないし丁々発止の議論などできるハズもない。これだから、英語圏、いや英語圏でなくてもマレーシアなどの東南アジアでもだが、彼らをして日本人はシャイだとか、黙ってばかりいるから何を考えてるか分らないとか、ニヤニヤばかりして気味が悪い、などと言われてしまうのだ。

本当はそうではない。もっともっと喋りたいのだ。いろいろ話して世界のみんなと同じ仲間に入りたいのだ。でも残念ながら英語が話せない。これって実は大方の日本人の致命傷だと思ってしまう。日本では、英語なぞ話せなくても構わない、日本人なんだから、日本語だけで十分と言い切る人たちも大勢おられる。でも私は、それだから日本人が世界から誤解されてしまうのではないか、と思っている。

昔も今も日本では、英語を話すというだけで、能力を過大評価されたり自覚したりする傾向がある。ところが日本以外の国(中国や韓国のことは知らないが)では、英語は話せて当たり前、話せない場合は、使えない奴、できない奴とネガティブ評価されてしまうことが多い。マザーランゲージが何であれ、英語で意思表示し、さらに丁々発止に議論できる英語力は、今やごく普通のことなのだ。

慰安婦の問題も、南京大虐殺の問題も、世界中の人たちが誤解している気がしてならないが、これなぞは日本人の英語力の貧しさ、つまり英語発信力の無さの証左ではないかと感じてしまう。政府や公的機関だけでなく、草の根的に我々日本人の誰もが、世界のいたるところで声を大にして英語で情報発信して来ていれば状況は変わっていたのではないかと思っている。

だから私は、どこでも堂々と、あらゆる問題をいろんな国の人たちと、共通語の英語で真剣に話すようにしているが、もちろん完璧にはほど遠い。語彙や表現力の不足が言いたいことのニュアンスを曲げてしまうこともあり、まだまだ努力が足らないことを切実に感じている。

↓ワイルド・ボーのスペアリブ

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↓BBQ小屋から場所をダイニングに移してのディナー。

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↑ダイニングテーブルをざっと見る限り、今夜は、Grubsの姿煮込みの大皿はない。ないと分るとひねくれオヤジたち、内心ホッとしただろうに、なんだ今夜はアレないのか、なんて強がり言って、まったく煮ても焼いても喰えないひねくれモンだこと。(これ私も含んでのことです)

で、この緑色のスープは何ですかとスコットの母君に尋ねたら、その辺りの沼地に自生してるWater Spinachだと言う。参考までに、コメは水耕、バリオ特産のスティッキーライス、フルーツはパイナップル、パパイヤ、バナナなどを農園栽培。チキンや卵は家々でカンポンチキンの放し飼い。猪肉や山菜はジャングルマーケット、魚は数あるフィッシュポンドで必要十分。電気は最近整備されたというソーラー発電。水道は近くのダムから引いてくる・・・とまぁ、言ってみればこの世の楽園ですな、ここは。。

ただ、我々都会人(?)にとって唯一の不満は、ネットがまったく繋がらないことと、携帯電話もところどころしか通じないこと、、だがしかし、このことがメールやSNSなどのおせっかいからも逃れられて、ある種の都会人には却って魅力なのだとか。。

かくして今宵も、インターナショナルひねくれトリオはオーストラリアの孤高の旅人ジョン爺を加え、大いに喰らい、飲み、そして続きの話しに夢中になって、夜の宴はいつまでも続くのでありました。



DAY4

そして翌日(DAY4)ウォームアップの2日目、リーダーのピーターの計画に従い、バリオでは有数の観光名所(?)だと言うSalt Springまでトレッキングに行くこととなった。

Salt Springとは、即ち塩井(しおい)のことだが、バリオのそれは"クラビット高原の宝(Treasure of the Kelabit Highland)"とも呼ばれているそうな。その昔、海底が地殻変動のため隆起するなどして陸上に閉じ込められた海水(塩分やミネラルを多く含む地下水)
を、井戸を掘って汲み上げ、それを釜で煮つめて採取するのだが、近年特にこのバリオ塩の持つ医学的効果などが広く内外に認められ、バリオ土産としても喜ばれているらしい。

このソルトスプリング、バリオの北7-8kmのジャングルに位置し、我々の足慣らしのトレッキングコースとしては手頃なようだ。それにしてもお二人さん、今日も昨日と同じこんな恰好でっせ。

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天気はまずまずのようだが、なんせここはボルネオ奥地の標高1000mの高地、平地の天気とは異なると言うことを知るべきだ。昨日も夕方から突然雨が降り出したし、あの雨ではジャングルも相当ぬかるんでいるに違いない。私はいつもの防水山靴だが二人のシューズがちと気になる。でも、シーシーは昨日のプレーヤーマウンテンでスニーカーの靴底が剥がれて使えなくなり、結局、宿のスコットに譲ってもらった少しはましなトレッキングシューズだ。

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でも、運が良いことに往きは、歩き始めてまもなく、通りがかった村人のピックアップトラックに乗せてもらってジャングル道を走り、ほとんど歩くことなく目的地に着いてしまったのだが、皆、これじゃぁ足慣らしにならんでしょ、とは思わなんだ。

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なに?ここがソルトスプリング? 誰もいないし、これが観光名所かよ???

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ほほぅ、ここが井戸か?なるほど3-4mの深さに茶色に濁った水面が見える。あれ、意外に浅いんだな。

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↓これはネットからの借用画像だが、汲み上げた塩水をこのように窯で長時間煮つめて塩を採取するのだという。

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そして、↓これが最終的な出来上がり。竹筒にいれて固めた塩を竹筒から取り出し、なんか知らんジャングルの木の葉で包んだ特産のバリオ塩。試しに買って帰ろうと思ったが、帰りの機内持ち込み荷物の重量制限が気になり結局諦めた。

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その後、↓こんなぬかるみが延々と続くジャングル道を1時間ほど歩き、パ・ウムル(Pa'Umur)村に到着したころ、急に雲行きが怪しくなって来て、少し降り出してきた。

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おやおや、雨が降ってきたよ、こりゃ本格的な降りになりそうだな、、と、内心ほくそ笑みながら話したら、二人とも困った顔して早く歩こうなんて言ってる。おいおい、ここから宿までまだ4-5kmもあるんだぜ。お二人さんよ、まぁせいぜい濡れればいいよ、痛い目に遭わないと一生分からないだろうからね、いい機会だよ、これが年貢の納め時っつうんだよ、と声に出しては言わなんだがそう思ってた。

だって、明日からの本格ジャングル踏破行だって、雨具確かめたら、二人ともスマトラと同じ、ダイソーのペラペラポンチョだって言うんだよ。これ考えられる?えーっ、そんな無理だよぉ、って言ったら、アッハッハー、そんなんだからイケサンのバックパックが重くなるんだよって、逆に諭された。

し、し、しかしだよ、この後すぐに、あの人里離れたジャングル道で、滅多に遭わないであろう村人のピックアップトラックと遭遇し、恥ずかしげもなく親指を立ててヒッチハイクを試みた二人のオヤジ。

いやぁ、ラッキーと言うか、強運と言うか、まったくもって言葉が見つからないけど、気の良い村人に拾ってもらって、結局ほとんど濡れることもなく、宿にご帰還したひねくれトリオ。

これってついていたと言うべきか、はたまたついていなかったと言うべきかは分らんが、またしても痛い目にも会わず、年貢もちっとも収めず、計画では往復4-5時間のジャングルトレッキングのハズだったんだけど、終わってみれば、ナニ、半分も歩いてない、チョーヤワな足慣らしのDAY2でありました。

DAY5~DAY8に続く。


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