さて今回はマレーシア魚市場辞典のその3です。

私は今までKL内外の魚市場に足繁く通い、いろいろ不思議に思うことなどを調べたり、人に尋ねたりしてきたのですが、未だに理解できないことや納得できないことが少なからずあります。

前回のイカン・ニョニョもそのひとつですが、今回取り上げるタイ系(形)の魚もそうです。

実はタイ系(形)の魚って数が半端じゃなく多いんだそうですね。学術的分類によるタイ科だけでなく形が似ているものや食味などが似ているものを含めると、タイと名の付く魚は日本で知られているだけで300以上もあるのだとか。。

こちらの市場やスーパーの魚やさんの店頭に売られているタイ系(形)もいろいろあって、よく見るとそれぞれ形や体色が少しずつ違うのですが、市場の人間に魚の名前を聞いてもいつもメラとジェナハックの二つだけ。たまにメラ・ブサーとかジェナハック・ビアサなどと看板立ててる店もありますが、それは魚種ではなく大きさ(型)のことです。

要するにこちらでは、細かな魚種などにはみなさん全然拘っていないのでしょうね。ま、それもいいでしょう。どうせ魚の形がすっかり変わるほど煮たり、焼いたり、揚げたりするのだから、そんな細かな魚種・魚名なんてどうでも良いことなのでしょうね。(笑)

でも、このメラとジェナハックって、その分類区分が未だにはっきりしない。何がどう違うのかがなかなかピンと来ないのです。

最初は単純に体色で区分けしているのだろうと思ってました。メラ(マレー語:赤)はその名のとおり赤いタイ系(形)の魚。一方のジェナハックは赤以外の色のタイ系(形)の魚、、、、と言うなら納得なのですが、ところがジェナハックの方は暗灰色や明灰色だけでなく中には赤い色のタイ系(形)の魚もある。

どちらも同じような形をしているし、特に大きくて赤い色のメラと、同じように赤い色のジェナハックって、どっちがどっちかが良く分からない。

私ってこんなことにいつまでも悩むんですよね。それぞれじっくり識別してみると、メラもジェナハックもほとんどがGenus Lutijjanus、つまりフエダイ属の魚なんですね。しからばその中で線引きできる何かがあるのだろうかと探してみたけど、そんなものはどうもなさそうでずっと不思議に思っているんです。

日本であれば、これはマダイ、こっちはアマダイ、そしてこいつはキンメダイだとか、みなさん細かな魚種や魚名を気にするでしょう? 魚種によって食味も違うし、造りなどの見栄えも違う。300以上もあるタイ系(形)の魚を十把一絡げにして、これはタイだと魚屋が答えたら多分私は怒りますよ。

不思議ですね。でもこれ英語圏では、メラもジェナハックも全部一緒くたにしてスナッパー(Snapper)で通っているらしい。Snapperの中のRed SnapperだとかGolden Snapperと言った区分だけのようなんですね、、、、、、、、と、ここまで考えたところで、お、そうかとちょっと閃きました。

そうか、メラはスナッパーの中のレッドスナッパー(Red Snapper)だけを指し、ジェナハックがその他のスナッパーなのかも知れない。そう仮説して調べてみると、確かにレッドスナッパーは赤いタイ系(形)の魚(wikiによると、フエダイ属だけでなくメバル科とかキンメダイ科の一部の赤魚も含まれる)で、ジェナハックと言うのはスナッパーのマレー語名だ。

そうか、だからヒメダイ(Crimson snapper)とかヨコフエダイ(Malabar blood snapper)などの赤い体色の魚も、その他のスナッパーとしてジェナハックに含まれるんだ。うん、ひょっとしたらそうなのかも知れないな、、、と今現在は思っているのですが、私のローカルの友人・知人にこんなことを聞いても誰一人興味を持つ者もいないし、未だ確証は持てず仮説のままです。(既にお分かりの方がおられたら是非ご教示下さい)

ただ近いうちに、縁あって政府魚業局(Department of Fisheries Malaysia)の漁業専門家の方とお話しできる機会を持てそうなので、その際にはこんなお話もしてみようかと思っています。

それで今日は、当地の魚市場などで売られている、このタイのような形をした魚を取り上げますが、客の目線で見ると、このタイのような形の魚はメラとジェナハックだけじゃないんですね。もうひとつグルグルと言うローカル名の魚があって、実はこれはイサキ科の魚なんです。

メラやジェナハックと同じ区画で売られていることが多く。ちょっと見にはジェナハックと間違えてしまいそうですが、よく見るとジェナハックよりは明るい銀白色が多く、グルグルと識別できます。

と言うことで、今回は市場でよく見るメラとジェナハックとグル・グルなどを紹介したいと思います。



イカン・メラ(Ikan Merah)
日本名:なし(英名:Red Snapper、マレー名:Merahメラ)

注:Red SnapperとはNorthern red snapper、Southern red snapperの他、メバル科、キンメダイ科の一部の赤色魚の総称(wiki)

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これは市場と言わずスーパーの魚屋コーナーと言わず、どこでも見かけるイカン・メラ=レッドスナッパーです。レッドスナッパーはメキシコ湾で獲れるノーザンレッドスナッパーなどが有名ですが、こちらで売られているものは近くで獲れる東南アジア産のもの。ただ、日本近海では獲れないので和名はありません。日本のマダイとはまったくの別物です。魚体長は30cmから1mを超える大型のものまである。でも注意すべきは、市場やスーパーの魚売り場によっては、ジェナハックとして分類されてしかるべきヒメフエダイやヨコフエダイも、体色が赤いことからイカン・メラ=レッドスナッパーとして売られていることもあるのです。こんな時には私の分類区分の仮説が否定された気分でちょっとややこしいのです。

鮮度の見分けは他の魚種と大して変わりませんが、魚体に張りとヌメリがあり体表が光っているもの、目がクリアーなもの、もちろん鰓が赤いもの、そしてここも大事なのですが、腹を押してみて跳ね返るぐらいのものが良いのです。価格は型によって異なりますが、中型のものはキロ25-30リンギ程度。刺身の食味は鮮度が良ければ、固からず柔らかからず、身肉が薄いピンクで血合いも美しく、日本のマダイに劣らぬほどの美味と私は思っています。





イカン・ジェナハック(Ikan Jenahak)

市場に並べられているジェナハックは暗灰色か明灰色が多いのですが、前述したように中には黄赤の魚やピンク魚、そして赤銅色の魚まであるんですよ。最近では私も少しずつメラとの見分けがつくようにはなってきましたが、最初はどっちがどっちだかさっぱり分からなくて、???を連発してました。



日本名:カドガワフエダイ(英名:John's snapper、マレー名:Jenahak tandaジェナハック・タンダ)

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これはジェナハックの代表選手的存在かも知れません。オンラインフィッシュサプライヤーさんのフィッシュリストには、ジェナハック=Jhon's Snapperと載っているぐらいですからね。鮮度を見分けるコツは体表が濡れて輝いているもの。目がクリアなもの、鰓が鮮紅色のもの、腹を押してみて硬いものなどです。魚体長は30-50cm程度。価格はキロ20-30リンギぐらいです。鮮度の良いものは刺身にして抜群。身質は適度に腰があり旨みもある。血合いはピンクで身肉は白。ジェナハックの中でも私の大の一押し。




日本名:なし(英名:Yellowstreaked snapper、マレー名:Jenahak jalur kuningジェナハック・ジャルア・クニン)

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これもジェナハックコーナーではよく見るフエダイ科の魚。明灰色が多い。鮮度見分けはいずれもカドガワフエダイに同じ。体表が濡れて輝いているもの。目がクリアなもの、鰓が鮮紅色のもの、腹を押してみて硬いものが良。型はカドガワフエダイよりもひと回り大きいものが多い。価格は同じ。食味はカドガワフエダイよりやや劣る気がしたが、ひょっとしたら鮮度が劣っていたのかも知れない。




日本名:ヨコフエダイ(英名:Malabar blood snapper、マレー名: Merah mata hitamメラ・マタ・ヒタム)

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これは、市場やスーパーによっては「メラ」として売られている場合もあり、ずっと???でした。体長1メートル近くになる大型種だそうだが、売られているものは30-50cm程度。全体に赤っぽく腹にかけて赤銅色に光る。体高が高く体表には斑紋がない。魚体に張りと艶があり鰓が鮮紅色が良い。退色したもの、目が濁ったもの、腹が柔らかいものは古いので避ける。価格はキロ25-30リンギ程度。刺身にすると透明感のある白身でやや繊維質だが味が良い。




日本名:ヒメフエダイ(英名:Crimson snapper、マレー名:Jenahak pucatジェナハック・プチャ)

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これも、市場やスーパーによっては「メラ」として売られている場合がある。だが、残念ながら私はこれまでこの魚の鮮度の良いものに出会ったことがない。卸売市場で良くみかけるが、大体が体表に張りがなく腹が柔らかい。ただ、ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑によると、鮮度が良ければ透明感のある白身で血合いも美しく、刺身にして抜群の味わいだそうだ。魚体長は30-50cm。価格は他のメラに同じ。





イカン・グル・グル(Ikan Gerut-gerut)

これも前述したが、この魚はジェナハック(カドガワフエダイ=Jhon's Snapper)と見間違いやすい。ただしよく見ればこちらの方が明らかに明るいシルバーか明灰色なのでジェナハックとは区別できる。



日本名:ホシミゾイサキ (英名:Silver grunt、マレー名:グル・グル・ペラGerut-gerut perak)

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日本名:マダラミゾイサキ (英名: Saddle Grunter、マレー名:グル・グル・セボコGerut-gerut sebokoh)

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売られているものは25-35cm程度。残念ながら食味はまだ確認できていない。価格はキロ20リンギ前後。





イカン・メラ・ボリン(Ikan Merah Boring)
日本名:センネンダイ (英名:Red Emperor、マレー名:イカン・メラ・ボリン(Ikan Merah Boring)

センネンダイ01

センネンダイ02

センネンダイ03 (2)

フエダイの仲間では体高が高い方。体側には暗赤色帯があるが成長するにつれ薄くなる。幼魚期は鰭が長く、暗赤色帯がよく目立つ。魚体長70cmにもなる大型種だが、市場では小型や中型種が多い。鮮度の見分けは赤味の強いもので目が澄んでいるもの。鰓が鮮紅色のモノ。触ってヌメリがさらっとしていて張りのあるもの。写真3番目のものはセンネンダイの幼魚期のもの。刺身は透明感のある白身で、その透明感が長続きするというのだが、未だ鮮度の良いセンネンダイに出会ったことがなく、食味は未経験。





イカン・ピンジャロ(Ikan Pinjaro)
日本名:チカメタカサゴ(英名:Pinjalo snapper、マレー名:Merah pinjaloメラ・ピンジャロ)

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市場ではよくみる魚。頭部が丸みを帯びている赤い魚なのですぐわかる。背鰭は薄紅色で棘条上縁は黄色、胸鰭は鮮紅色、腹鰭は黄色っぽい。背鰭・臀鰭の縁辺は黒く縁どられる。市場では体長20-40cmのものが多い。価格はキロ20へ25リンギ程度。食味を試してみたが、鮮度が必ずしも最良ではなかったせいか、身肉が柔らかすぎた。





イカン・カカップ・バツ(Ikan Kakap batu)
日本名:マツダイ(英名:Tripletail、マレー名:Kakap batuカカップ・バツ)

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マツダイ02

ローカル名のカカップ・バツのバツとは石のこと。体色が黒いことからクロダイかと思ったが、これはマツダイ科のマツダイ。体高は高く、尾鰭が3つあるように見えることから英名でトリプルテールと呼ばれている。体色は幼魚は茶褐色~黄色で、成長すると黒くなる。体長80cmに達する大型魚だが、市場や魚コーナーで見るものは30-50程度。価格はキロ25前後が多い。身肉はピンクで血合いが美しいので、刺身ではえる。脂は皮下に層を作る魚のようで脂がのっていればそれなりに美味。




以上、今日は市場でよく見るタイ系(形)の魚を紹介しました。しかしながら、鮮度が十分で刺身クオリティの魚がどこの市場でも簡単に見つかるかと言うと、それはかなり厳しいと言わざるを得ません。産地(漁港)から直送された魚が並ぶ卸売市場にしてもそれは同じです。しかし、市場や時間帯などを選べば、この南国でも確かに刺身クオリティーの魚を探すことは不可能ではありません。

先日の日曜日(3月19日)に訪れた、とある市場ではなんとめったに見ない型の良いマゴチが10本ほど売られていました。マゴチは刺身にすると美しい白身がコリコリしてとても味わい深く美味しい魚です。早速買って帰った方の弁によると、昆布締めが特に美味しかったそうですが、そんなお話を伺うと、マレーシアの地魚を刺身で食べよう倶楽部(仮称)を自称しつつある魚好きの私は堪らなく嬉しい気がするのです。

次回はスズキ(Barramundi)、サワラ、マグロ、カツオなどを紹介してみたいと思います。
それではまた。。



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