今日は久々に魚を食らうシリーズです。

実はこの前、日本から見えたお客様(My Better Halfの友人2人)を案内してプトラジャヤの某和食レストラン(2014.7.5記事にて紹介済み)に行ったのですが、これがとんでもなくNo Good、期待を大きく裏切るものでした。お客様には、マレーシアでも美味しい刺身を食べさせる店があると大見得を切っていただけに、言い訳するのも大変なほどでした。

前回初めて訪れた時には唸るほど刺身の美味い店だと思ったのに、今回出された刺身を見て唖然。素人目にも明らかな、見るも無残なチョ不味のピンクの冷凍マグロ。しかも白い筋目に平行に切ってあって、まるで前回とは勝手が違う。念のため、数切れ口にしてみましたが、硬い筋が糸状に残り噛み切れないほどでした。

シェフや仕入れ係が変わったのかどうかは知らないが、これは余りにも酷すぎる、そう思いました。やっぱりここはマレーシア、一度や二度行っただけであそこは美味いなんて、絶対信用してはいけない、まして他人には絶対薦めちゃいけないと痛感した次第です。

美味い刺身は、とてもローカルピープルには任せられない。もともとローカルピープルには生魚を食らう習慣がないのだから、刺身の美味い食らい方なんて判る筈もない、いや判らせようとする方が無理なのだろう、そう思います。

でも元来ひねくれものの私です。誰もが無理と思うもの、困難なもの、厄介なものであればあるほど私のチャレンジ精神は高まります。結果、私のマレーシアで美味い刺身を食らう情熱と言うか執念は益々高まってしまったようです。

そんな中、ローカルの知り合いから、最近ある情報を入手しました。インド洋やアンダマン海、南シナ海などの豊富な漁場から、マグロを含む様々な新鮮魚がここKLにも入っていて、プロの仲買人でなくても購入ができると言うのです。

えっ?どこで?と、思わず身を乗り出してしまいましたが、「バトゥケイブに行け」と判じ物のように言われ、????と頚を傾げてしまいました。良く良く聞いてみると、バトゥケイブの近くにある卸売り市場なのだそうです。

なんだ、卸売市場か、ごく普通じゃないかと思いましたが、考えてみれば、今までなぜそのことに気が付かなかったんだろうと不思議な思いもしました。これだけ大都会のKLに、いくらこの国の流通インフラが未成熟とはいえ卸売り市場がないわけはない。新鮮魚を探すのなら先ずは最初に卸売市場だろうとなぜ考えなかったのか、近年、老人性脳細胞減少症が益々進行しているのではなかろうかと少々不安にもなりました。

まぁそれは冗談ですが、早速、バトゥケイブ近くの卸売市場をネットで検索してみたところ、それはどうやら、Pasar Borong Selayang Baru(New Selayang Wholesale Market)と言うKL最大の卸売り市場のようです。

調べてみると、この卸売り市場では、マレーシア全土から集荷された鮮魚や青果などの生鮮品が毎日夜半過ぎから続々と入荷し、合わせて500軒ほどの卸売り店が、朝の3時から5時ぐらいまでは主にプロの仲買人や小売業者を対象に、その後9時までは一般購買者を相手に店を開くのだとのこと。

で、早速行って来ましたので今日はそのことをリポートしてみたいと思います。

モントキアラの我が家を4時半に出て現地到着は5時少し前、距離にして13km足らずなので、いつも行くケポンの日曜魚市とさほども変わらない近さです。

もちろん、外はまだ真っ暗。市場に近づくと、周囲は業者さんのトラックなどでごった返していて、駐車場所を探すのにちょっと手間取りましたが、慣れればもっとすんなりと入れるかなと思いました。

どこが入り口なのかよく分からないので、とりあえず周囲を歩いてみます。

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飛行機の格納庫のような建物ですが、四周には壁がなく、どこからでも中に入れるような、どこが入り口なのか出口なのか判然としません。

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周囲を歩いていると、大勢のプロの仲買人さんや小売業者さんらしき人たちがキャリーを引いて出入りしてました。

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それにしても巨大な市場です。私は、昔からこんなところが大好きなので、興奮の余り思わず身震いするほどでした。
おっ、PASAR HARIAN SELAYANGとの大きな看板がありました。マレー語ですが、スラヤンデイリーマーケットの意味です。下に、DEWAN BANDARAYA KUALA LUMPURと書いてありますが、これはKL市役所(DBKL)のこと、多分、市役所の管理であると言うことなのでしょうね。

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野菜や果物のブロックを通り過ぎて行くと、どうやらこの辺りが鮮魚ブロックのようです。

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それではここから中に入ってみましょう。

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おおーっ凄い。。見渡す限りの魚市場です。

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売り手と買い手の掛け合い、人々の喧騒、生魚の匂いなどなど、これって、ここにこうして立って眺めているだけで興奮してしまいます。もちろん床と言うか土間の小路はどこもかも黒く濡れています。これこそ文字通りのウェットマーケットなのですが、ところどころの黒い水溜まりは水なのか魚血なのか定かではありません。

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見て廻りながら、オレって、いつの頃からこんな趣味を持つようになったんだろうなどと自問自答したりするうち、あっと言う間に時間が過ぎていきます。周りを見ると、人波もどうやら落ち着いてきたようです。家庭の主婦らしき女性もちらほら見えて、どうやら客層がプロのバイヤーから一般の人たちに代わってきたように思えます。

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おっと私もそんなにのんびりしてはおれません。とりあえず、今日は一本メジマグロをゲットしたいと考えてましたので、アジやキスなどの小魚には目もくれず、ひたすら黒光りのする魚体を眼で追っていました。

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すると、おっこれは?と思う魚に出くわしました。よく見ると、カツオのようです。しかし縦じまがない。コレは以前に本で読んだヒラソーダではないか。(私は、北の魚は得意なのですが、カツオなどの南の魚には実は疎いのです)

ヒラソーダって、トロカツオのことではなかったか、日本では食べたことはなかったが確かマグロよりも美味いと本で読んだことがある。(注:このときはまだこのカツオがスマガツオだと言うことに気が付かず、てっきりヒラソーダとばかり思ってました)

もう私の眼はまだ食したことのない、このカツオに完全に釘づけです。すっかりメジマグロのことを忘れてしまいました。

店のオヤジさんに話しかけてみました。最初は英語で、Hello Uncle! How long ago were these fishes landed on the port? (ねぇオヤジさん、この魚たちいつ港に上がったの?)、でも、こっちをチラッとみただけで完全無視です。

うーん、英語が通じないのかと思い、次に、Hello Uncle! Belapa lama lepas ikan ini telah mendarat di pelabuhan? とマレー語で問いかけてみると、途端に相好を崩し、なんだあんたマレー語ができるんなら最初からそう言えよって。忙しそうな手を止めて、Malam Semalam(夕べだよ)と答えてくれました。さらに、どこの港、何時に?と畳み掛けてみましたが、知らないとの返事、まぁ、これは無理かと私も直ぐ諦めましたけど。。。

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周囲を歩きまわり、型の良いものを探しました。そして、ついにゲットしました。(注:この写真を後で見てオドロキました。調べたところお腹の斑点はヤイトの印、この箱のカツオはほとんどがヒラソーダよりも美味いと珍重されているスマガツオと知りました.)

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これです、これが今回ゲットしたヒラソーダガツオ、ではなくスマガツオです。見て下さい、お腹のところにあるヤイト、薄くなって消えかけてはいますが紛れもなくスマです。

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しかし、↑このスマ、2.8Kgもありました。体高も高く惚れ惚れするほど美しい魚体です。ほら、比べてみてくださいよ、↓こっちは、先日あるところで購入したメジマグロ、1.1kgです。私のこのマナイタの幅が40cmですのでその大きさが判るかと思います。

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しかし、↓これ美しいですね。

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このまま飾っておきたいぐらいに惚れ惚れするスマガツオです。

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また、今回は、このスマガツオの他、これも美味そうなヤリイカを2本買ってみました。

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これです。いかにも新鮮で美味そうで、2ハイとも刺身で食べようか、それとも1パイは焼きにしようかなどとニタニタ考えてました。

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今回試しに購入してみたスマガツオ(最初はヒラソーダとばかり思っていましたが、嬉しい間違いでした)とヤリイカ、どちらも日本では滅多にスーパーには出回らない高級魚です。ところがここマレーシアでは、スマがアジより安い。メジマグロだってめちゃくちゃ安い。これ、私にとっては嬉しい悲鳴です。(恐らく、安い理由はこのようなサバ科の血合いの多い魚は、こちらの人にはあまり好まれないからだと思います。しかし近い将来、生食の美味さを憶えたマレーシアの人達が増えてきたら、価格が高騰するのかも知れません)

とにかく今日は試し、家に帰って早速スマを捌き、血合いを取り除いて、その場で一切れ食べてみました。
ん、・・・・・・・・・・・・・・こ、これは美味い。カツオ特有の臭みがないどころか、このなんと言うか、表面がつるんとして、中は適度に脂がのったもちもち感、そして口の中で蕩ける甘み、なんとも言いようのない美味さです。これは今までマレーシアの高級和食レストランやお寿司やさんで食べた刺身や、自分で捌いて食べたどの魚よりも遥かに美味い。

先日食したメジマグロなんて問題になりません。まさに絶句です。嬉しくなって思わず柵を適当に取り、自分用なのでいい加減に刺身に切りながら、待てよ、オレ一人ではとても食べきれないほどあるな、でもかといって多分足が速い魚なので保存は無理だろうし、さて、と考えて、ふと思い出したのが、ヒゲのinuさん。早速、刺身は要らんかねぇと電話すると、なぜか電話口で焦り始めたinuさん・・・・・・ど、どうしたの?

inuさん曰く、「ま、前から頼もうと思っていたけど、た、大変だからと遠慮してたんだよ。さ、刺身、いっ、いっぱい欲しい。」
私:「いっ、いっぱいってどのくらい?」、inuさん:「ウチのコンドのプールサイドで今夜バーベキューパーティやることになっていて、全部で20人ぐらいなんだけど、だめかなぁ?」って。。。。

えっえっえっ?このスマガツオ、今日はお試しに1本買ってみただけなんだけど、、、、と私もしどろもどろ。

でも、inuさんの次の一言が殺し文句でした。「良かったら、それ持ってきて一緒にやらない?」って。。あぁ、オレってなんでこうも卑しいんだろ、宴会と聞くともうダメ、この宴会男に、一緒に飲らないかだなんて、そんな、殺生な・・・・・

かくして、自分用のお試しスマガツオ、急遽、宴会用のお造りと相成った次第です。

でも、自分用のお試しだからと、かなりいい加減に刺身切っちゃっているんですけど・・・・、まっいいか、大根とパセリで隠せばなんとかなるかと、これもいい加減に考えて俄かに間に合わせたのが↓コレです。

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上の寿司桶の右側に少しヤリイカを添えてみましたが、このヤリイカも絶品。でも、こうしてみても刺身の切り方のなんと雑なこと、とても他人に見せられる代物ではないのですが、その美味さに免じて今日は許してつかーさい。

総勢20人超の宴会と聞き、とにかく全部持って行こうと、この他に2パック、持参しましたが、嬉しいことに皆さん旨い旨いと言ってあっと言う間に食べていただきました。

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いつも思うのですが、作る側の人間としては旨い、美味しいと言って食べてもらうほど嬉しいことはない。世の板前稼業の人たちはこんな幸せな毎日を過ごしていたのか、あぁ、私は道を間違えたのかも知れない、なんてのたもうものなら、私を知る先輩諸氏にどつきまわされ、挙句の果ては東京湾に沈められる、かも知れないので、決して思っても口に出しませんが、いや、この日は早朝から目一杯に充実した1日でした。

今後しばらく、私は、このPasar Borong Selayang Baru通いを続けることになるのでしょうが、また素敵な魚をゲットし食味を試してみたらこのブログでリポートしたいと思います。

ではまた。。


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